もうなんて言ったらいいのか
「嗚呼、終わった」
「俺たちの2年間が終わった」
という感情しかなかった。
今日は事前の親子面接だった。本番である。
親子三人、廊下で面接官に呼ばれるのを待っている。娘はよい姿勢で「にっこり笑顔をするんだ」と、高い意識でいた。珍しくメンタルコントロールもばっちりである。
パパの志望動機のほうは頭に入ってなくって、ブレブレではあったが、コンサル会社で身についてしまった口八丁手八丁で、毎回それなりに響く回答をすることができていた自信があった。
(という思い込みである)
しばらくして、面接官に呼ばれる。
面接官「お待たせしました、ではお嬢さんはこちらのお部屋へどうぞ」
と声をかけられた娘はとたんに、さっきまでの笑顔は秒で吹き飛び泣き顔になった。
そして
「行かない」
とボソッと言った。
「ちょ、まて」
パパの耳がバグったのか?
今、行かないって言った?
娘「・・・」
その瞬間、パパとママの心臓がギュッとなった。
うわーーーーーーー
でたーーーーーーー
一番恐れていた、参加拒否が発動してしまった。
面接時間は15分しかない。
その間に、子どもは別室で絵を描く課題がある。
親は別室で面接だ。
それなのに、ここで拒否をするとは・・・
娘のトリガーを引いてしまったのは親子で別室のところだろう。
「行きたくない」
この時の親の心境を五七五で表現してみましょう。
なんてジョークが言えたらどれだけよかったか。
心停止している臓をなんとか、セルフAEDで動かし、パパとママで娘の説得を開始する。
しかし心配になって教室からでてきた先生方3名に囲まれおり、親としても不用意な発言はできない。
これは面接である。親の発言、挙動、子供の様子などすべてが評価の対象である。
娘が泣いて動かない時点で、すでにマイナス点である。
ここから挽回できる気がしない。
というか6倍以上ある難易度の学校で、この状態ではもう不合格決まりである。
ママ
「お絵かき楽しいから大丈夫よ」
パパ
「すぐ隣にいるからね、いってらっしゃい」
のようなレベルでは娘の気持ちを瞬時にリセットすることはできない。
なにを言っても娘には
「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ・・・」
くらいにしか聞こえていない。
時間は刻刻と過ぎ去る。
すりきれているのはごこうじゃなくて、パパとママのHPである。
船場吉兆ささやき女将のようにパパが言った「この後、はま寿司へ行こうか」にピクっと反応し、行く素振りを見せたが、やはり動かないこと山のごとし。
そうこうしているうちに、どんどん時間は経過してしまう。
15分しか与えられた時間はないんだよ。
先生方が気を使って、娘に声をかけるも、無視。
「時よ止まれ!ザ・ワールド!」
とディオのようにはいかない。
椅子にうなだれて座り、足を前後にブランブランする娘。
ジャックで教わった、やってはいけないことを全部している。
こんな光景を面接官に見られたらもう絶望しかない。
誰がこんな状態の子どもを合格判定させてくれるだろうか?
無理無理
諦めの気持ちがどんどん大きくなってくる。
結局、娘との交渉は難航したまま10分経過し、時間切れ。
参加せずに不合格が確定した。
試験主任の先生が登場し、
「もう時間がありませんので、本試験のときに様子をみさせていただきますね」って
分かっておりますよ。私どもに気を使っていただいてのその発言。
でも、実際に本試験を受けてももう面接に参加していないのだから、合格はありませんよね。
漫画みたいに、しょぼくれて肩を落とし、ママとパパは学校から去った。
すでに不合格が確定している状態でも本試験を受けるべきなのか?
いっそのこと、「本試験を受けてももう無理ですよ」と言ってもらったほうが、気持ちとしては吹っ切れたのだが。
この状態でも試験は受けるべきなのか?
まだこの先4校あるが、1校目でこのショックは大きい。
のちに我が家で面接事変として語り継がれるであろう大事件だった。
笑い話にできるかどうかは、他の学校から合格をいただけるか次第だ。
これで全落ちだったら・・・
どんなエンディングになるかは11月に続く。
考査本番まで残り 11日